過激な性教育が蔓延しているか?

 こんにちは、みなさま。今日は『バックラッシュ!』より論点「過激な性教育が蔓延しているか?」をお届けします。果たして教室でアダルトグッズは乱舞しているのか?

 バッシング派の論者により、「ジェンダーフリーの名の下に、過激な性教育が蔓延している」という批判が繰り返し行われた。性教育の実践は必ずしもジェンダーフリーの理念にもとづくものではないが、一部の論者によって両者が混同され、特に都立七尾養護学校において発達障害を持った子ども向けに現場の教師が工夫して考えた教材を、「過激な性教育が蔓延している実例」として誇張して取り上げるケースが多い(この問題に関しては、金田智之「『道徳主義型性教育』とその問題点」(木村涼子編『ジェンダー・フリー・トラブル』、二〇〇六)および、浅井春夫ほか『ジェンダーフリー性教育バッシング ここが知りたい50のQ&A』(大月書店、二〇〇三)が詳しい)。
 このような声が高まる中、二〇〇五年一二月、「義務教育諸学校における性教育の実態調査について」という報告書が発表された。この調査は自民党などから「過激な性教育が蔓延している」という指摘が多く行われたことなどを踏まえて文部科学省が行なったもので、学校総数三二四三一校(公立の小中学校、および盲・聾・養護学校)を対象に、二〇〇四年度の性教育に関する苦情や問い合わせの状況、その対応を調査したものだ。
 その結果、問い合わせ(「性教育の指導内容を教えてほしい」「性教育は家庭単独では教えづらいので、PTAや授業参観を利用し、計画的に指導していくべき」「自分の子どもに性教育は受けさせたくない」「初経指導の時期を早めてほしい」などを含む)があった学校が三六五校。苦情としてカウントできるのは一五五校で、そのうち実際に見直した例は六八校だった。一五五校という数字は学校総数三二四三一校の約 〇.四七%、六八校は約〇.二%にあたり、全体からみると「極端な例」とはいえる。この数値をみるかぎり、「蔓延」と呼べるような実態は誇張であったことがわかるだろう。
 また、見直された例の中でも、「中学校の性教育の授業において、性交について取り扱うのは行き過ぎではないか」という「苦情」に対して「扱わない」という「見直し」をしたケースなど、それらが妥当な配慮であったかは議論が必要である。
 もちろん、どのような性教育が、誰にとってどういう基準で「過激」なのかを考えることは重要だ。但し、一連の議論では、性教育の話題が単に「政争の具」として扱われているような気がしてならない。

 さて、ここでいつものようにウソネタを考えようとしたのですが、chiki さんが性教育の自習としてツンデレ喫茶を舞台としたギャルゲー『しぇいむ☆おん』をはじめてしまったので、今日はウソネタはありません。残念。(ウソ) ← クレタ