『バックラッシュ!』キャンペーンブログの歩き方

 こんにちは、みなさま。こうして1ヶ月以上にわたって毎日楽しい(ですよね?)記事を更新しているこのキャンペーンブログですが、本を買ってはじめて URL を知ってやってきた人にはちょっと入り込みがたいジョークが多いのではないかなと思ったので、今日はキャンペーンブログバージンのための「『バックラッシュ!』ブログの歩き方」を掲載することにしました。これまで知られてこなかった裏話や裏設定も公開されるので、常連のみなさんも楽しめると思います。

基本情報

 『バックラッシュ!』キャンペーンブログは、双風舎刊『バックラッシュ!』の発売を記念して発売日(6月25日)の前後1ヶ月ずつ、合計2ヶ月ちょっとに渡ってオープンされているブログです。とりあえずいまのところ、毎日更新されています。運営しているのは執筆陣にも加わっている chiki と macska です。よく誤解を受けますが、双風舎の運営ではありません。双風舎の協力(プレゼントするための本など)を受けて、執筆者の一部が勝手にやっています。ちなみに、CSS2 の text-shadow プロパティを指定しているので、Safari ブラウザ使用の方は特別にプリティな題字を見ることができます。
 書籍『バックラッシュ!』そのものについての基本的な情報は、以下のエントリに見られます。


 『バックラッシュ!』ブログは、原則として曜日毎に決まった内容が更新されます。そのパターンは以下の通り。

月曜日 バックラッシュ!』掲載論文の出だし部分公開
火曜日 chiki による連載『デビューボの泉』
水曜日 バックラッシュ!』掲載コラム「キーワード」「論点」から紹介
木曜日 双風舎・谷川社長による出版状況報告
金曜日 macska による連載『ポップ×フェミ』
土曜日 週替わり特別企画
日曜日 プレゼント企画発表


 ただし、特別な事情で原稿が間に合わなかったり出稿できない場合があり、その時は特別企画を前倒しするなどして穴埋めされます。これまで原稿を落としたのは macska が6月16日にサンフランシスコに出張中 iBook の電源アダプタが故障したことによる一回のみですが、ほかに原稿が遅れて普段より更新時間が数時間遅れたこともありました。 macska と言えば月に一回は病気で倒れていることが知られていますが、「キャンペーンブログがあるうちは死ねない」と頑張っているようです。

デビューボって何?邪神って?ドギって?

 キャンペーンブログを読むと、デビューボという言葉が頻繁に使われています。記事中だけでなく、コメント欄にも常連さんがデビューボと書いていますし、debyu-bo なんていうハンドルの人までいます。なんだか不気味で怖いですよね。
 デビューボの元ネタは、*minx* のこの記事で紹介している「正論」2002年10月号掲載の論文。この論文ではアメリカのバックラッシュ本の内容をそのまま受け流しているのだけれど、その中で言及されている一昔前の有名なフェミニストボーヴォワールのことを「最近の過激フェミニスト、シモン・デビューボ」として紹介しているのです。
 ボーヴォワールをスペルにすると Simone de Beauvoir。なんとなくデビューボと読めないこともないですが、こんなに痛いミスをチェックしない「正論」編集部もちょっとどうかしています。そこから転じて、「デビューボ」とはバックラッシュフェミニズムに対してでっちあげるトンデモな主張や説を指す言葉として使われるようになったのです。
 chiki さんが連載している『デビューボの泉』では、保守論壇におけるそうしたデビューボな発言を収集し、点数をつけています。その単位も「デビューボ」。100点満点で採点されます。デビューボは略して dB と表記することもでき、そうすると音の単位「デシベル」と同じになるので、デビューボな発言のうっとおしさがさらに増幅されて感じられるはず。これまでのデビューボ数は以下の通り。

対象 dB
千葉展正『男と女の戦争』 90
西尾幹司&八木秀次『新・国民の油断』 95
林道義『家族を蔑む人々』 78
中川八洋『両性具有への人間改造 ジェンダー・フリー教育の正体』ほか 85


 ところで、「この発言はこんなにトンデモなのに、どうしてデビューボが低いんだ?」「この程度の発言でどうしてこんなにデビューボが貰えるの?」と疑問に思ったことはありませんか? たしかに、トンデモぶりでは突出している林氏や中川氏がこんなに低いデビューボなのはおかしいと感じるかもしれません。実は裏設定があり、デビューボを求めるためのデビューボ公式というモノがあるのです。以下に示す数式がそれです。

デビューボ値 = トンデモ度 × 影響力 × チキ係数


トンデモ度:そのまま
影響力:ウェブや論壇における影響力
チキ係数:その日の chiki の気分

 トンデモ度は高い林さんが影響力の面で点数を落とす一方、トンデモ度では決して中川さん以上ではないはずの西尾&八木コンビはこの本が出た当時「新しい歴史教科書をつくる会」の会長・副会長でしたからかなりの影響力があったと判断されてこうした高得点になったことがうかがえます。このあたり試験に出るのでよく勉強しておいてください。
 なお、『デビューボの泉』第1回に「祟るぞぼけー」というスバラシイ決め台詞とともに「邪神」というものが登場します。 chiki さんによるとタイかカンボジアあたりの土産物らしく、もしかしたらどこかの偉い神様なのかもしれません。が、なぜか読者の頭の中で邪神とデビューボが混ぜ合わさってしまい、それがあまりにも良いマッチなのでいつのまにか「デビューボ」は「邪神の本名」という意味も持つようになってしまいました。現在、邪神デビューボの信者は全国に公称30万人とされています。デビューボ教団内にはさまざまな派閥があり、最大派閥を「フェミ誤解派」といいます。
 デビューボとともにキャンペーンブログが導入した単位にドギがあります。『バックラッシュ!』キャンペーンを熱狂的に応援してくれているブロガーやコメント書きの人に報いるために、毎週日曜日に chiki と macska がそれぞれ50ドギずつ、合計100ドギの中から配分します。7月末までにドギを最も多く集めた10人の人には、10ドギにあたり1つずつ macska 謹製のピンバッジがプレゼントされます。ドギレース公式ルールによれば、ドギを得る条件とは

バックラッシュ!』キャンペーンブログにコメントやトラックバックを寄せたり自分のブログに宣伝文句や感想を書くなどして協力してくださった方の中から、特に印象に残った人、楽しませてくれた人、寒いボケにツッコミを入れてくれた人など

 とされています。が、いまのところ誰もツッコミを入れてくれていません。そんなに寒かったですか? うーん。
 ちなみに、ドギの上位単位として100ドギ=1ヤギであることは知られていますが、100ヤギ=1サギとなることはあまり知られていません。それぞれの語源は不明ですが、ドギレースでトップになった人には「名誉教授」の称号が与えられる、という不謹慎な発言も聞かれます。

コンテストに参加して本やバッジを貰おう

 キャンペーンブログでは、『バックラッシュ!』発売を盛り上げるためにさまざまな読者参加型の企画が実施されています。その最大のものが『バックラッシュ!』もしくはその他の双風舎の書籍が当たるプレゼント企画ですが、前出のドギ獲得レースも目が離せません。ここでは、そうした各種の読者参加型企画を紹介します。

企画名 内容 結果
双風舎『バックラッシュ!』プレゼント企画 自分のブログで『バックラッシュ!』を宣伝してトラバを送った人の中から抽選で書籍をプレゼント。方言(外国語、ギャル文字、パロディなどもありました)で応募すればさらにドギが貰える。 これまでに4人の当選者を出しつつ続行中。
バッジ獲得ドギレース その週ブログを盛り上げた人、『バックラッシュ!』の宣伝に貢献した人などに macska と chiki がそれぞれ50ドギずつ合計100ドギを分配。7月末にドギ獲得数トップ10に入った人に macska 謹製ピンバッジ贈呈。 トップ集団の3人は堅いか。次点 Kodakana、大穴は昆布。10位までに入る可能性は誰にでもアリ。
バッジマイスター・ワールドカップ inflorescencia さんが macska バッジのデザインを「いまいち」と評価したことをきっかけに開催。優れたバッジデザインを送ればドギが貰える。 inflorescencia さんからの応募しかなかった… ていうか応募作は丸でなく四角いデザインで、どうやってこれを丸いバッジに印刷するのか。
ポップ&ポスター・デザインコンテスト バックラッシュ!』宣伝用のポップやポスターを公募。 谷川さんが予告しただけで結局実現せず。ごめんなさい。
「行き過ぎたジェンフリ」都市伝説コンテスト 「行き過ぎたジェンダーフリー」のフレーズの元に生産されてきたさまざまな都市伝説のパロディ募集。優秀作にはドギ進呈。 林氏や中川氏の強烈すぎるオリジナルに押されて萎縮してしまった感が。応募者はみな常識のある人ばかりで、バックラッシュ陣営のトンデモ論者にはとてもかなわない。その中でも駄洒落に走ったしゅうさん、バックラッシュ言説の理不尽さをうまくコピーした Mizusumashi さん、そして小技を組み合わせた見事な応用技を見せた debyu-bo さんが3強。
『バックラッシュ!』誤植探しコンテスト ついに発売された『バックラッシュ!』の誤植を発見した人に1つあたり5ドギ進呈。特に笑える誤植を見つけた人にはさらにプラス。 ぼちぼち集まってきています。


 これからもたくさんのコンテストによってドギが争われることになるでしょう。終了したコンテストについても、後から何かを思いついたら早速ブログに書いてトラバしましょう。ドギがもらえるかもしれません。邪神デビューボスクリーンセーバーを作った人、創作小説を書いた人、豆本を作った人、アスキーアートを作った人、その他いろいろにも随時ドギが贈られています。また、ドギはお笑いネタを提供した人が貰えると思っている人もいるようですが、感想や反論をブログに書くなど真面目な応援もドギの対象になります。

ウソネタの6類型分類

 最後になりますが、キャンペーンブログが毎日ずっと続けていることがもう一つあります。それは、ほとんど全てのエントリに何らかの形で「ウソネタ」が含まれることです。ウソネタとは、「〜を目指せ!(ウソ)」という形式が典型的ですが、なんらかの大袈裟な野望を述べたあとで「ウソ」だと誤摩化すものです。が、1ヶ月以上も毎日更新しているとネタが思いつかなくなります。そこで次々とナンセンスとしか思えないウソネタが続出するわけです。一説によれば、毎日ブログを更新するのに一番苦労をしているのがこのウソネタを考えることだと言われています。そういうウソネタですが、以下のように分類することができるでしょう。


1)壮大な野望型

チャットで日本中を熱狂させて、ワールドカップ決勝トーナメントのドイツ×スウェーデン戦の視聴率を落とすぞ!(ウソ)(06/22/2006)


売りまくってベストセラーにして、『バックラッシュ!』大全50巻シリーズを出し尽くせ!(ウソ)(06/07/2006)


たくさんのトラックバックをお待ちしております。目指せしょこたん、打倒眞鍋かをり!(ウソ)(05/28/2006)


このまま話題を独占して、取るぞ流行語大賞!(ウソ)(05/27/2006)


このままの勢いで追いつけダ・ヴィンチ・コード、追い越せ涼宮ハルヒ!(ウソ)(05/26/2006)


目指せ100万部、目指せ自社ビル!(ウソ)(05/25/2006)

2)ちょっと本気型

みなさんのブログをもっと「双風舎の『バックラッシュ!』が読みたい!」で満たしてください。「マージンFXのひまわり証券さん、ニンテンドーDS Lite欲しい!」キャンペーンに負けないぞ!(ウソ)(06/25/2006)


もし売り上げ好調で『バックラッシュ!』続編の出版が決まれば、『バックラッシュ!』キャンペーンブログも継続するかもしれませんよ!(ウソ)(06/22/2006)


さあ、みんなで『バックラッシュ!』を予約して、新宿ゴールデン街で出版記念パーティに参加しよう!(ウソ)(06/15/2006)


走れ谷川、『バックラッシュ!』を空前の超ベストセラーにして、わたしたちに印税生活をさせてください!(ウソ)(06/14/2006)


連載を重ねて、目指せ『デビューボの泉』単行本化! ねぇ双風舎谷川社長?(ウソ)(06/12/2006)

3)ナンセンス型

次回、裏切られたヤムチャの巻!(ウソ)(06/18/2006)

(対談中)
chiki:
いいですねー。このまま第二の「竜王は生きていた」を目指してほしいです。だいたひかると結婚しましょう。分からない人は結構。


macska:
そ、そのウソネタは最後に取っておいてください(笑)
読者のみなさんも、今読んだ事は忘れるように。

次週ドギレースのトップに立つのはどちらか? それとも第三の戦士か? 目指せ第二の「竜王は生きていた」!だいたひかると結婚しよう!(ウソ)


さて、明日水曜日は本書よりキーワードをまた一つ紹介したいと思います。しかも話題の『ジェンダーフリー』。正しく理解して、みんなで同室で着替えるぞ!(ウソ)(06/06/2006)


デビューボを布教して、目指せ世界三大宗教!(ウソ)(06/04/2006)


頑張って一緒に地域通貨ドギを広めましょう!(ウソ) ではまた来週!(06/04/2006)


プレゼント企画満載の明日の『バックラッシュ!』キャンペーンブログを読んでハワイに行こう!(ウソ)(06/03/2006)


出版状況をどんどん公表して、目指せ双風舎 2.0! 時代は谷川 2.0!(ウソ)(05/31/2006)


息をぴったり合わせて、出るぞM1グランプリ! 優勝して結婚するぞ!(ウソ)(05/30/2006)


コレクターを極めて、出るぞ『なんでも鑑定団』!(ウソ)(05/29/206)

4)パロディ型

なお、言葉の意味が分からなかった人は、東京生まれヒップホップ育ちの悪そな奴に尋ねましょう。きっとだいたい教えてくれます(ウソ)(06/27/2006)


みんなも夏の課題図書『バックラッシュ!』の感想文を書いてコンクール入賞を目指そう!(ウソ)(06/25/2006)


実は誤字は暗号になっていて、それらを読み解くと真のメッセージがうかびあがる仕組みになっているのです。ジェンフリ・コードを解いて日本もしくは日本以外全部の沈没を防ごう!(ウソ)(06/28/2006)


macska 先生と chiki 先生のコラムが読めるのは『バックラッシュ!』だけ! 第二のゆで氏とたまご氏に応援のお葉書を送ろう!(ウソ)(06/16/2006)


ドギを集めて車椅子と交換してもらおう!(ウソ)(05/31/2006)

5)自虐型

さて、明日公開のコンテンツは以前告知した「行き過ぎたジェンフリ」都市伝説コンテストの優秀作発表です。ただし、まことに申し訳ありませんがアマゾンに予約した地方在住の人がそれを読めるのは来週になります(ウソ)(06/30/2006)


チャーハンを腹いっぱいと言わずに、谷川さんにサラダと餃子のついたチャーハンセットBを食べさせてあげてください!(ウソ、だよねぇ?)(06/24/2006)


バカ売れを予言するために双風舎七福神がやってきたとか、危険を察知してネズミが逃げ出したとか色々なうわさが飛び交っているけど、真相はどっちだ!(ウソ)(06/21/2006)


バックラッシュ!』本体よりも面白い明日のキャンペーンブログを注目だ!(ウソ)(06/09/2006)

6)ヤケクソ型

全てはデビューボ様のために!(ウソ)(06/28/2006)


そろそろネタ切れを心配する方もいるでしょうが、バックラッシュ本を100冊読んだと豪語する chiki さんならまだまだ大丈夫でしょう。どうせなら1000冊読んで、バックラッシャーに転向だ!(ウソ)(06/26/2006)


新たな議論の創造者は、挑戦者の皆さんと客席の皆さん、そして テレビの前のあなたたちです!!(ウソ)(06/26/2006)


ようこそここへ遊ぼうよパラダイス、胸の林檎むいて!(ウソ)(06/23/2006)


 みなさん分かりましたか? 最初は「壮大な野望型」が多かったのに、すぐに行き詰まって最近はナンセンス型やそれを一歩進めたヤケクソ型が増えていることがよく分かると思います。

おわりに

 以上、『バックラッシュ!』キャンペーンブログの歩き方をお届けしました。これさえ読めばあなたも今日から常連になれる! 目指せドギレース新人王!(ウソ)(←ちょっと本気型)