ジェンダーフリー論争に潜む俗流若者論の罠 featuring 後藤和智さん(2)

 以下は後藤和智さんをお迎えして行ったチャット座談会の一部です。本来は28日のコンテンツなのですが、1日の最大文字数制限に抵触してしまったので、入りきらなかった分を以下に収録します。

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双風舎谷川社長が『バックラッシュ!』続編を熟考中!

 こんにちは、みなさま。本日は双風舎・谷川社長による出版状況報告の最終回をお送りします。トニー谷川のジャジーな文章にスウィングすることが出来なくなると思うとさびしい限りですが、しかし新たな議論の可能性を感じさせてくれるコメントをいただきました。それではどうぞ。

みなさん、また会いましょう!


 マチュカさんとチキさんのご尽力により、2カ月にわたって展開してきたこのキャンペーンブログも、今月末で更新は終了となります。
 新刊の刊行と連動して「毎日更新」のブログをやろう、という冒険的な試みを提案し、有言実行ということで実際に切り盛りしていただいたマチュカさんとチキさんに、まずは厚くお礼を申し上げます。
 考えてみれば、「毎日更新」というのは、なかなかすごいことだと思います。私は週に一度の活動報告を書いただけで、常駐でかかわっているのは上記のおふたり。おふたりで週に6つのネタを出し、それを2カ月つづけたのですから、並大抵のことではありません。
 いずれにしても、このブログをたずねるたびに、『バックラッシュ!』という本に対する読者のみなさんの声が聞こえ、反響が伝わってきました。一般の出版社では、反響を記すためのハガキを本に挟んだりはしていますが、それを記して投函する人はまれです。多くの場合、資金がたくさんあって、刊行前の読者の反応を広告代理店やリサーチ会社をつかって調査する以外は、出版社は刊行前の読者の反応を知ることはできません。
 永江朗さんが図書新聞に書いていますが、限られた「カリスマ」(いやですね、この呼称)書店員に対しては、出版社は事前にコピーやら試作本やらを渡したりしますし、双風舎も限られた書店に対しては、本の概要や装丁などのコピーを提供したりします。正直にいって、事前情報を提供する書店の選択は「売り上げ」と「親密度」が基準となっており、けっして広く提供できるような土壌はできておりません。
 書店に対してこの有り様ですから、ましてや読者に対して、どのように新刊の情報を事前に、かつインパクトのあるかたちで届けられるかといえば、心許ない返事しかできませんでした。
 そういう意味で、このブログでの試みは、刊行前の新刊と読者が出会う機会を提供し、さらには刊行後も内容についての議論をしてみたり、誤字脱字の報告があったり(つねづね反省しております……)と、読者にも出版社にも魅力のあるものになったことと思います。
 『バックラッシュ!』の総出荷数は、昨日の時点で5200冊。連日、ご注文をいただいております。単なる時事問題をあつかったものではありませんし、「ジェンダーフリー」問題のみならず、別のバックラッシュが発生した際の参照にもなる本だと思います。ですから、今後も長く売っていける本だと確信しています。
 このブログの更新が終了しても、『バックラッシュ!』に関する情報は私のブログで発信いたします。ときどき、のぞいてみてください。
 『バックラッシュ!』の第二弾はあるやなしや!?
 ただいま熟考中でございます。
 いつもこのブログを読んでいただいているみなさん、私の駄文を読んでいただいたみなさん、ほんとうにありがとうございました。
 それではみなさん、いつかどこぞで、また会いましょう!


双風舎 谷川茂

 社長、一時は失踪するのではないかと心配しましたが(至高のウソ)、最後までお付き合いいただきありがとうございました。これからも『バックラッシュ!』をめぐって議論が盛り上がることを心より望みつつ、これからも地道に広げていきたいと思います。まだ『バックラッシュ!』をお読みになっていない方も、是非手にとってみてください。なお、『バックラッシュ!』キャンペーンブログ第二弾もただいま熟考中です(究極のウソ)

キャンペーンブログ打ち上げチャット大会の告知

 こんにちは、みなさま。約2ヶ月ほど運営してきた『バックラッシュ!』発売キャンペーンブログの終了を記念して、打ち上げウェブチャット大会を開きます。チャットは今週土曜日の夜10時(日本時間)開始です。その時間になったら、ウェブブラウザを開いて以下のアドレスに接続してください。

http://hawaii4us.org/backlash/chat/pbschat.php?fn=backlash

 思えばこのキャンペーンで、運営サイドが予想していなかった思わぬ収穫もたくさんありました。ブログなどで議論が盛んになるほか、このブログをきっかけに多くの方がブログを開設してくださったり、新たな交流が生まれたり、「バックラッシュ」で検索すると上位に来るようになったり(笑)。この勢いを何かのかたちにいかせていければいいですね。チャットでは、後続企画の告知もあるかも? 本の内容について直接著者にぶつけるチャンスもあるかもしれないので、ふるって参加しチャットくれ!(ウソ)

「ジェンダーフリーは共産主義か?」

こんにちは、みなさま。今日は『バックラッシュ!』より論点「ジェンダーフリー共産主義か?」をお届けします。つまらない論点ではありますが、正論や産経新聞などを見るとこの手の言説が未だに飛び交っているので要注意かもしれません。

ジェンダーフリー共産主義か?】

 ジェンダーフリーを批判する人は、なぜか「マルクス主義」「革命」「共産主義」といったフレーズを好んで使う。批判者の生い立ちを調べてみると、批判者自身が元左翼活動家だったりして、自分のリアリティを投影しているんだなぁということが分かって面白い。また、最近の保守雑誌や単行本を読んでいると、「左翼」がはびこっているというイメージを一生懸命盛り上げることでおこぼれに預かるというようなタイプの不安産業と化しているようで、ちょっとかわいそうな気がする。例えば西尾幹二は『新・国民の油断』(PHP、二〇〇五)のあとがきに次のようなことを書いている。

 (「ジェンダーフリー」「過激な性教育」は)規模といい、巧妙な計画性といい、根が深く、決してただごとではない。特定の政治勢力が背後にあって、しかも、それがいままでのような反体制・反政府ではなく、「男女共同参画社会」というよく分からない美名の下に、政治権力の内部にもぐりこんで、知らぬ間にお上の立場から全国津々浦々に指令を発するという、敵ながらあっぱれ、まことにしたたかな戦術で、日本の国家と国民を破壊する意図を秘め、しかもその意図は遠く七〇年代の全共闘連合赤軍、過激派左派の亡霊がさながら姿を変えて、自民党政府を取り込んで新しい形で現れた、にわかには誰にも信じられない、おどろおどろしい話なのである」と書いている。

 いやいや、そんな与太話、誰も信じなくて正解だろう。むしろ、西尾の『新・国民の油断』を、自民党が各議員に配ったという意味では、そっちの方が「自民党政府を取り込んで新しい形で現れた、にわかには誰にも信じられない、おどろおどろしい話」かもしれないが。あっぱれ。
ジェンダーフリーには「画一的に、同一に扱うもの」「結果の平等を求めるもの」という攻撃もあるが、むしろ逆。既に述べたように、男は男らしく、女は女らしくとして画一的な価値観を与えられるより、多様なライフスタイルを肯定するという意味で使われる。無論、両性を中性に収斂させるというものでもない。男であろうと女であろうと、誰であろうと選択の自由を増やそうという程度のものだろう。
 ところで、すごくくだらないことだが(というかこの騒動全体がくだらないのだが)、最近では、なぜか「フェミニストジェンダーフリー論者が女系天皇を推進するために暗躍している」という陰謀論が出回っているが(フェミニストの地下組織、というような言い方も好まれる)、このような言説も症候的だろう。かつてはレディースデーがフェミニストのしわざとされていた。今度は女系天皇。次は、老人の孤独死熟年離婚あたりかな。

 以上、論点をお送りしました。これからはジェンダーフリーのことを、「資本主義の手先!」と糾弾することにしましょう(ウソ)

『デビューボの泉』最終回 : デビューボは永遠に不滅です!

 あなたに向けられた憎しみを微笑みへと変えてくれる『デビューボの泉』へようこそ。このブログでの連載は今回が最終回と言うことで、今日はこれまでの連載を振り返ってみたいと思います。
 まずおさらいしておくと、デビューボ値は、「トンデモ度 × 影響力 × チキ係数」(参照)によって算出されています。トンデモ度はそのままの意味、影響力はウェブや論壇における影響力、チキ係数はその日の chiki の気分で決まっています。いままでのデビューボ獲得順位は、次のようになります。

対象 dB
西尾幹司&八木秀次『新・国民の油断』 95
『正論』見出し集 92
千葉展正『男と女の戦争』 90
中川八洋『両性具有への人間改造 ジェンダー・フリー教育の正体』ほか 85
新田均「子供たちに過激な性情報を注ぎ込んでいるのは誰か」 80
八木秀次 79
林道義『家族を蔑む人々』 78


 かなりクオリティの高い争いになりましたが、1位はやはり、自民党が配布してバッシングの論拠にし、多くのブログ等で参考書籍として挙げられるという影響力、「大沢真理上野千鶴子両氏は柴犬以下」などなどのトンデモ度、そしてこれをきっかけにまとめサイトまで作ってしまったというチキ係数、どれをとっても群を抜いていた西尾幹司&八木秀次『新・国民の油断』に決定です。おめでびゅーぼざいまーす。
 ちなみに、最も chiki 係数が高かったのは以下のノミネート作品です。

 女性専用車両を運行する意味とはなにかといふと「男性敵対思想の宣伝」。これである。
 電鉄会社は「女性を痴漢から守るために女性専用車両を導入しました」なんて言ってるが、あれはウソ。
 あまり知られてゐない事実だが、女性専用車両のドデッパラには、人間に見えるか見えないやうな薄いペイントで「男=ワル」と大書してあるのだ。そして電車がホームに入ってくるたびに、利用客の脳裏にはテレビのサブリミナル効果のやうに「男=ワル」のイメージが刷り込まれる仕掛けになってゐる。
千葉展正『男と女の戦争』(p.37〜38、展転社、2004)より

 な、なんだってー! 他にも刺激的な作品は多くあれど、これには敵いません。しかしみなさま、これをトンデモだとばかり思ってはいけません。なにせ、こんなところにも「男=ワル」と大書されているのですから。


男(ワル)の処世術


 ほれみたことか。しかも表紙がアカいのです。これはジェンダーフリー共産主義だという動かぬ証拠です。最近の「ちょい悪」ブームも、きっとジェンダーフリーの仕業だったに違いない。むむむ。ちなみに、chiki 的にはこっちの方が好きです。


ワルの恋愛術--ワルな男は3秒で女を虜にする!


 チキ係数で言えば、中川八洋さんの作品もいい線いっていたのですが、あまりにクオリティが高すぎて チキ係数計測器が壊れ、chiki の文体も壊れてしまいました。とほほ、です。
 今回の連載では少ししか扱えませんでしたが、しかしこの世には同様の手法で「ジェンダーフリーの悪影響だ!」と叫べそうな対象がたくさんありそうです。例えばフェミニスト憧れの地、スウェーデンでフリーセックスを助長するようなダンスが流行しているのも、日本の女子高生がかくも暴力的になったのも、男女混浴入浴が蔓延しているのも、郵便ポストが赤いのも、じっと目を凝らせばジェンダーフリーの仕業。それらを集めて列挙しさえすれば、あっという間にこの世は地獄絵図に見えてくることでしょう。論より証拠、質より量が重要です。あなおそろしや。
 さて、これにて連載は終了ですが、いつかまた皆さんのお目にかかることがあるやもしれません。その日までどうぞごきげんよう。書籍化の話もジャンジャンきていることですし(ウソ)
 最後に、あの神様から一言いただきたいと思います。


邪神デビューボ


        邪神「祟るぞぼけー」

小山エミ「『ブレンダと呼ばれた少年』をめぐるバックラッシュ言説の迷走」および荻上チキ「政権与党のバックラッシュ」全文公開!

 こんにちは、みなさま。ついにキャンペーンブログも最後の週を迎えました。これまで毎週月曜日は『バックラッシュ!』に掲載されている論文のなかからそれぞれサワリの部分を紹介してきましたが、今回は【本書から】カテゴリ最終回としてキャンペーンブログ運営者でもある小山エミ (macska) 及び荻上チキ (chiki) の書いた記事の全文を出血大公開します。
 記事は PDF ファイルで公開しています。

 これらを読んで『バックラッシュ!』の他の論文が気になったかたは、是非本書をお買い上げください。またこれらの論文を読んで「くだらない文章だな」と思った方は、他に素晴らしい論文がいくつも掲載されているので『バックラッシュ!』を見捨てないでください。ネロが悲しみます*1(ウソ)

バッジ獲得ドギレース第8週 : 初のヤギ達成者誕生!その名も…

 さて、続いて macska 謹製バッジ獲得ドギレースのコーナーです。もうすぐ最終コースにさしかかろうとするレースはデッドヒートを繰り広げている模様。審査の様子は以下にお届けします。

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